4月、満65歳の誕生日を迎えると、市役所から「介護保険被保険者証」なるものが送られてきた。

 それが合図であるかのように、体調がおかしくなった。


 6月、公民館で胃のレントゲン検査を受けた。
在職中からも年に1回はバリュウムを飲んでいて、いつも「異常なし」だったので、軽い気持ちで出かけた。
ところが、今年は、初めて、「異常らしき箇所」が見つかったのか、半月ほどして赤いチェックのついたレントゲン写真のフィルムと「問診票」が送られてきて、念のため内視鏡検査を受けるよう記されていた。


 7月、生まれて初めて胃カメラ(内視鏡)なるものを飲んだ。
去年、義兄が、やはり内視鏡検査を受けて、胃の半分以上を切除する手術をしているので、余りいい気持ちはしなかったけれど、目の前のモニター画面に写る胃の内部はきれいだなあと、ぼんやり眺めていた。
すると、お医者さんは、「ちょっと気になるところがあるので、3カ所検体を採っておきます。」といって、ピッピッと引っかけて採取し、「1週間後、結果を聞きに来てください。」と事務的な口調で言った。

 最悪、手術になっても、「まな板の上の鯉」で、お医者さんの言われるとおりするしか仕方がないなあと、割合、淡々とした気分でいた。
この頃、自分の体調で、他にもっと気がかりな事があった。

 結局、内視鏡検査の結果は、「異常なし」だった。


 それよりも、クーラーや扇風機の風邪にあたると、腕や肩、ひざ・足首が、だるいような痛さに襲われるのである。ひどい時は、ちぎれるような痛さと言った方がいい
ように思う。

同じ姿勢を長く続けていたり、朝起きた時は、とくにひどい。腕や肩、ひざ・足首にしびれたような痛みがあったり、手の指が硬直したようになって、関節が痛くて自由に曲がらない。
立ち上がるのさえ一苦労で、全然手足に力が入らない。

 かわいい孫を抱いても、カメラや三脚を持っても痛みが走るようになった。野鳥を撮りに出かけたり、旅行に出かけるのも、すっかり億劫(おっくう)になった。
しだいに食欲もなくなってきて、春先に比べて、体重が5kgほど減った。
 
 近所のかかりつけのお医者さんに相談すると、「血行不良を起こしているのかもわかりませんね。気になるようだったら専門の医者を紹介しますよ。痛む時は、市販の塗布する鎮痛剤を使ってもいいですよ。」と言って、血行を良くする薬とアリナミンをくださった。

 クーラーや扇風機にあたらなかったら、少しは楽なんだけれど、何しろ今年の暑さは尋常ではなかった。
痛くなるとはわかっていても、クーラーなしでは汗はひかないし、クーラー無しでは寝られなかった。
いつも、痛さと涼しさを天秤にかけていた。


 そこで、たびたび、○○クリームとか○○ヨコヨコとかのお世話になった。確かに、いっとき、痛みは和らぐ。ただし、薬が効いている間だけ…。
そのうち、薬局に行った時、○○ヨコヨコにクロの他に赤いキャップのも有るのに気がついて、買って帰った。2倍の効き目があるかもと思って、黒いキャップの○○ヨコヨコの上から、赤いキャップの○○ヨコヨコを塗布したら、ぴりぴりとヤケドのような熱さを感じて、両肩・両腕がかぶれて、かゆくて痛くて長い間往生した。

 お得意のインターネットで、「手・足の痛み」で検索してみると、2639件の情報があった。
 「血流障害による手足の痛み」
 「糖尿病による手足の痛み」
 「リュウマチ」
 「更年期障害」 「痛風」
 「難病(筋萎縮性側索硬化症)」 等々…。
筋萎縮性側索硬化症の説明を読むと、「50〜60代の男性がかかりやすく、筋肉がやせて、力が弱くなり…」とあり、もし難病やったら嫌やなあと一瞬ゾッとした。


 「放っておいたら大変なことになりますよ!」と、ビートたけしに言われそうだけれど、風呂上がりや冷やさない時は比較的楽であるし、朝に比べ午後は痛みが少なかったりするので、自分では「冷えによる血流障害」だろうと勝手に決めてかかっている。

 この夏は、勤めていた時のように背広にネクタイ姿は皆無で、いつも軽い服装で出かけ、冷房の効き過ぎたホールや会議室ではガタガタ震えていることが多かった。
それに、あまり外に出ず、クーラーの効いた部屋でじっとパソコンやテレビに向かっている事が多かったので、運動不足の上に、血行障害を招いた…などなど思い当たる事が多いのである。

 してみれば、これは「身から出た錆」、私の場合は、生活習慣病と言えるかもわからない。
これから毎日、手足の痛さと戦いながら、少しずつ、せっせと、錆を落とす努力をしなければと思っている! 今は…。

    


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