孫の写真がずいぶん増えてきた。 じいちゃん馬鹿を発揮して、笑顔が可愛い、しぐさが面白いと、手近にあるデジカメでパチパチ写して、インクジェットプリンターで、やたらとハガキサイズの光沢紙に印刷したからである。 はじめは、「可愛い!意外ときれいね。」と言っていた家内が、アルバムに貼って整理しようとして、ひとこと文句を言った。 「アルバムに貼るには大きすぎるのよねえ。それに、色あせ(退色)しないかしら?」 言われてみて、なるほど一理あるなあと思った。 大きいのは何とかなるにしても、「色あせしないか?」と言われて、「しない」とは断言し難い…。 それなら一度デジタルプリントにしてみようと考えた。お気に入りの写真のデータをCFカードにコピーして、近くのカメラ店に持って行った。 1時間余りで出来上がったデジカメ写真をもらって帰って、子細に眺めて驚いた。今までの銀塩写真と比べても遜色ない!というより見分けがつかない程きれいだった。 1枚当たりのメモリーサイズが300KBぐらいあれば、Lサイズでデジタルプリントしても結構いける。1枚35円なら大いに利用価値があるなあと思った。 それに、うまくいったら悩みが一つ解消できるかも分からない…。 長い間にたまったフィルムを、ごちゃ混ぜにしてダンボール箱に詰め込んであるので、「処分したら…?」と迫られている。あの時のあの写真をもう一度焼き増ししたいと思っても、探すのが大変で面倒! デジカメ写真ならフィルムが貯まらない。CDに焼いておいたら探すのは簡単!それに、同時プリントの度にできる没写真も貯まらない…。つまり、いろんな無駄がはぶけるかもわからない。 おまけに、トリミングするのも、邪魔なものを消すのも、少しのピンボケをシャープにするのも自由自在。これは便利だ! まだ普通のカメラの銀塩写真でないと困る場合もあるけれど、日常のちょっとした写真ならデジカメプリントで十分、まに合いそうだと思った。 それに、デジタルカメラの性能がどんどん良くなるし、プリント技術だって日進月歩で向上するに違いない。 これは意外と面白そうだと思いはじめた! |
普通の銀塩写真と比べても見分けがつき難いとなると、デシダルプリントを利用したいろんなアイディアが浮かんできた。 以前、パスポートを申請するのに「1分間写真」を利用したら、指名手配の写真みたいになったけれど、デジタルプリントなら思い通りに出来る。 自分で何枚も写して、気にいったのを選び、フォトレタッチソフトを使って、目をパッチリにしたり、背景に障子や襖が写っていたらバックを薄いグレーに変えられる。それをカメラ店に持っていってデジタルプリントして、銀塩写真と見分けがつかないなら、そのまま貼り付けても通るかも…? 証明写真は、これに限ると思ったけれど、修正し過ぎて、出国窓口の係官に、「実物と違う!」と別室に連れて行かれたら、やっぱり困るかも…? (実際にはデジタル写真は違反だと思う、念の為!) フォトレタッチソフトを使えば、写真の合成も簡単に出来る。 パリやロンドンの街角を歩いている写真だって出来る。 可愛いアイドルや絶世の美女とのツーショットだって、たちどころに作れる。デジタルプリントして銀塩写真と見分けがつかないのなら、みんなを驚かせること請け合いだ…。ところがどっこい、有頂天になっていて、肖像権の侵害だと訴えられた…、というのではどうも格好が悪い…。 そこで、ふと考えた…。 今まで信じてきた写真のリアリティって何だろう? 新聞社では、高級一眼レフデジタルカメラを速報性の点から重宝しているというけれど。写真の信憑性(しんぴょうせい)がゆらぐのではあるまいか? 修正や合成したデジタルプリントは、銀塩写真に限りなく近づいても、所詮、精巧にできた偽札みたいなものかなあとも思う。専門家が注意深く見ると、光の方向や微妙なデテールの違い、その他、似て非なる部分が沢山あるに違いない。 デジタルプリントの利用を、ああでもないこうでもないと考えた結果、まあ、個人で好きに楽しむ範囲にとどめておくことが一番無難かなあという、無難な結論に落ち着いた…。 |
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